美少女万華鏡 罪と罰の少女 感想

美少女万華鏡 罪と罰の少女感想。序盤はネタバレなし。

 

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3度の飯より男女双子が好きだ。美しき男女双子の近親相姦が好きで、2人だけの世界に閉じ籠る男女双子が好き。二次性徴での変化に耐えきれなくなる男女双子が好きだ。そんな自分にとってこのゲームは最高の1本となった。

 

八宝備仁先生と吉祥寺ドロレス先生のタッグで送られる、美少女万華鏡シリーズ第4弾。自分はシリーズでは今作が初プレイ。しかしエロスを多分に含みながらも常に宗教画のような美しさを湛えた八宝備仁先生のイラスト、キャラクターの歪みを書ききった吉祥寺ドロレス先生のシナリオにただただ圧倒されてしまった。

 

とある事情で精神病院に入院していた覡夕摩という少年が、双子の姉である覡夕莉と再会し、彼女と想いを通じ合わせていく……というのが主なストーリー。

夕摩は女装して夕莉の通う女学園に通うことになり、そこで出会った保健医の藤原咲や、ドジな鈴森いちか、オカルト少女の御殿場鏡子とも関係を築いていく。

 

雪の降る道路に静かなピアノのメロディー、鳥籠や百合の花などの耽美なガジェット、繰り返される文学作品からの引用。いわゆる抜きゲーに分類される作品で、実際行為のシーンはかなり多いが、合間に挟まれる物語には常に静謐で耽美な雰囲気が漂っている。自分のようにインモラルな近親相姦が好きな人間は成人向けゲームに親しみがなくても楽しめるのではないかと思う。

自分は近代文学が好きなので序盤から頻繁に繰り返される文学作品からの引用にはテンションが上がった。

 

サーカス、生い立ちの歌、曇った秋、永遠の詩、詠嘆調、汚れちまった悲しみに/中原中也

ライ麦畑でつかまえて/サリンジャー

惡の華/ボードレール

卵、蛙の詩/萩原朔太郎

あどけない話/高村光太郎

ドグラ・マグラ、猟奇歌/夢野久作

 

ぱっとわかった範囲でこのような作品から引用がなされていた。主人公の狂気が反映されたラインナップである。

夕摩が一番好きな作家という設定なだけあって、中原中也作品からの引用が多く、また効果的に使われていたように思った。ゆあーんゆよーんゆやゆよん、『サーカス』の特徴的な擬音が表れるシーンは主人公が狂気的な人物だとプレイヤーに一瞬で理解させるのを助けていたし、永遠の詩のシーンは衝撃的だった。

 

以下ネタバレで近親相姦に強く寄った感想とキャラ別感想。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

インモラル男女双子の生家は金持ちに限る。

名家で繰り返される近親相姦に次ぐ近親相姦。双子の姉弟に期待して買ったが、双子が兄妹の近親相姦で生まれた子供であり、母息子も父娘(未遂)もあると、全部乗せ豪華セットすぎて恐れ慄いた。夕摩は母から息子への愛情によって父から嫉妬を受ける息子という、逆エディプス・コンプレックスのような立ち位置にあった。夕莉は母を殺したのは自分だと思っているし、身近な異性が弟のみであった場合のエレクトラ・コンプレックスと受け止めて良さそう。

メインの双子は「罪と罰の少女」というタイトルに恥じない歪みっぷりで、狂気の方向性も非常に良かった。

序盤の夕摩の「死にながら、君との過去に生きてる」という台詞がまず素晴らしい。百合の白、病室の白、記憶のなかの真っ白な彼女。雪の心を白鳥の白さに結び合わせる。一切をさらに美しくする無垢の鏡には、私の思う彼女が映る。双子が鏡について語ると嬉しいので、鏡に姉を見出す弟のシーンで始まったことから既に100万点を叩き出していた。

夕莉の「言って、私は汚い……?」という台詞からの流れも非常に良かった。あなたが汚ければ私も汚い、私が美しいのならあなたも美しい。双子でしか通用しないロジック。二人の抱擁のスチルもカットインのような小さいスチルなのが惜しいほど美しかった。夕莉が強く夕摩を抱き締めているところしか映っていないけれど、きっと夕摩はもっと強く夕莉に縋っていたのだろうな。姉を強くその身に抱いたことで、姉が思っていたよりも小さくか細い存在と知る。男女の差を感じることで、弟が『姉』という上の立場ではなく一人の少女だと感じる展開、全姉弟にやって欲しい。

最後に真相が明かされ、「美しい姉とそれに翻弄される弟」という構図はすべて夕摩の作り出した虚像だったとわかる。夕莉が「自分はお姉ちゃんで、夕摩は守るべき存在」という価値観を露出させる度夕摩はじれったく感じていたのだろうか。夕摩の夕莉への愛情は、夕莉を女神のようだと評価する描写から信仰のように思えていたが、その実嫉妬を孕んだ醜いものだったのだと思う。

 

覡夕摩

夕摩の歪みや病みは予想出来てはいたが、神経衰弱ぎみの臆病な気性までが嘘とは思っていなかった。信頼出来ない語り部とはこのことだろう。夕摩自身も夕莉の好みに合わせた演技に没入しきっていたのだとは思うが。

母からの虐待と父からの虐待の両方を受け、完全に狂ってしまっているキャラクター。救いを姉に求め、姉を手中に収めるために様々なことを実行する。2人の関係性が序盤から登場していた「鳥籠」のモチーフに収斂していったのが鮮やかだった。

双子の苗字が「巫」ではなく「覡」なのも男性である夕摩がイニシアチブを握っていることが表れていたような気がするな。

 

覡夕莉

とにかく可愛いお姉ちゃん。 淫語まみれの喘ぎ声ですらもどこか高貴で、夕摩の策略に嵌りながらも気高さを失っておらず非常に美しいひとだった。謎の比喩が多い台詞も癖になる。

八宝備仁先生の描く圧倒的に美しいイラストが彼女の魅力を余すことなく伝えていた。立ち絵からして可愛すぎる。体をくの字に曲げたポーズも可愛いし、夕摩に意地悪する際の口を少し歪めた表情が可愛いし、照れた表情が何より可愛い。

行為シーンはお風呂のシーンが凄かった。揺れる水面や水音がリアルで、最近の成人向けゲームはこんなシーンが見られるのかと感動した。夕摩の顔と性器に夕莉の顔と胸と性器と、1枚のスチルに入れ込むべき要素が多いはずなのにデッサンに崩れがなく、特に顔がどのスチルでも可愛いままなのが凄かった。

 

鈴森いちか

メインヒロインがいるという前提を抜きにしても愛されるキャラクターとして造形はされていなかった。鏡子がコミカルでいわゆる二次元的な属性の盛られ方をしたキャラクターなのに対し、いちかは現実にいそうな鬱陶しさを持ったキャラクターだったと思う。だが、彼女の行為のシーンはかなり官能的で、個人的には作中で一番好きだった。唐突なお漏らしシーンの間の抜けた感じと主人公を本気で怒らせているところが面白かったし、幼さの象徴であり嗜虐心を煽る効果もあり非常に良いシチュエーションだった。

本編が終わった後、大人になったらトイレのシーンの真実や2人の関係性に気が付くのだろうか。夕摩のことは忘れて普通に生きてほしいがヒモ飼ったりホストに騙されたりしてしまいそうだな……。

 

御殿場鏡子

前述の通り、オカルト少女でメカクレ、レズビアン、オタクで巨乳と、かなり属性が盛られたキャラクター。夕莉とはまた違った肉感でアニメーションはかなりセクシーだった。いちかと対となっており、こちらは夕摩の従属欲求を煽るキャラクターだった。

こっちも咲先生のこと養いそう。コスプレ趣味はもっと突っ込んだ話が聞きたかったな。

 

 

この価格でこのクオリティのエロシーンとスチルの多さというだけでも凄いのに、好みド真ん中のシナリオで非常に満足。

薦めてくれた知り合いと自分よりも先にプレイしてくれた知り合いに感謝。

理と迷宮の少女も評判良いみたいだし、美少女万華鏡シリーズ順番にやっていきたいな~